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ジュエリーストーンの魅力って何でしょう。それは、輝き・透明さ・独特の色がかもし出す特別な存在感ではないでしょうか。とりわけ石の色は、具象・抽象の区別なく昔からいろいろなものに象徴されてきました。このページでは、おもにジュエリーストーンの色や、お守りとしてのパワーなどにまつわるお話をご紹介したいと思います。ほんのトリビア(些細なお話)としてお読みください。
 アクアマリン Aquamarine(3月の誕生石)

 アクアマリンは、とくに夕方から夜にかけて美しく映える宝石です。イブニングドレスにふさわしいジュエリーのひとつとも言えましょう。透明な水色が、ロウソクのような薄明かりの下でひときわ美しく輝くからです。また、その澄みきったみずみずしさは、春から夏にかけてもっとも好まれます。
着けている人はもちろん、見る人の心をとても爽やかにしてくれますね。

アクアマリンの語源はラテン語の海の水、とくに地中海の美しい海の色。その色が目に優しいことから、アクアマリンを浸した水で目を洗うと、あらゆる目の病気を治すと言い伝えられてきました。また、しゃっくりを止めるとも。それには気分を落ち着かせる優しい色が関係していると思われます。
昔の船乗りは、心強い水難のお守りとして、いつもアクアマリンを携えて海に出ました。その由来には二つあって、ひとつは水の精の大切な宝物がアクアマリンになったという説、もうひとつは、ある船乗りに片想いした人魚の涙がアクアマリンとなって浜辺にうち寄せられ、それを拾った別の船乗りがお守りにしたというお話(こちらのほうがなんだかロマンチック)。自然の怖さを知っている船乗りが「ゲン」をかついだことは、容易にうなずけます。もしもタイタニックの乗客が同じようにしていれば・・・

アクアマリンは、勇気を奮い立たせ、倦怠感を払い、思考を活発にし、洞察力と予知力を与え、また不眠症から解放してくれると昔から信じられてきました。とくに既婚のカップルにとっては、愛情関係を円満にする力があるとされています。近代では、宝石セラピーで頭痛の治療に用いられたり、新しい友達を作るお守りになったりしています。そのいずれもが、透明で清らかな水色からもたらされているのです。
 アメジスト Amethyst(紫水晶、2月の誕生石)

 アメジスト(紫水晶)は淡い藤紫から赤みを帯びた紫で、高貴さ、優雅さ、優しさをかもしだします。それだけに、この色が似合うためには思慮深く、優しく、美しい女性でなければなりません!
この石は、その色から「ワインストーン」とも呼ばれています。別名「バッカスストーン」とも言いますが、それはギリシャ神話に由来しています。アメジストはギリシャ神話に登場する美しい乙女の名前です。あるとき、たまたま機嫌を損ねていた酒の神バッカスが、ダイアナ神殿に向かう信心深い乙女アメジストに虎をけしかけて、うさを晴らそうとしました。これを見かけた狩の女神ダイアナ(アルテミス)は、哀れに思いアメジストを純白の石に変えました。我に返って自らの行為を恥じたバッカスが、持っていたブドウ酒をその石に注いで罪を詫びると、純白の石は美しい紫色のアメジストになったということです。

アメジストの語源はギリシャ語のアメタストス(酒に酔わない)。古代ギリシャ人は、これを着けていると酔っぱらわないと信じていました。転じて後世には、暴飲暴食の戒め、悪酔い防止、解毒のお守りとされてきました。また、枕の下に入れて眠ると不眠症が治るとか知性が磨かれるとか言われています。エジプトでは魔除け。また、酒の神バッカスに由来することから縁結びにも効くと言い伝えられ、ヨーロッパでは新婚カップルにプレゼントする宝石として好まれているそうです。

この石は水晶の仲間ですが、そのうちもっとも高価なもの。深い紫の色合いのよさで価値が決まり、赤や青の閃光が見られるものが最高級品とされています。
 エメラルド Emerald(5月の誕生石)

 エメラルドは持ち主に癒しをもたらすと言われています。それは、柔らかく澄んだ緑色が視覚的に安らぎをあたえるため、と科学的にも説明されています。人間の目は、太陽光に含まれる色のうち、緑色に対してもっとも感度良く作られています。このことは、緑色が人間にとってもっとも好ましい色である証なのです。ちなみに植物が緑色なのは、葉緑素が緑色だけを吸収しないからです。

エメラルドは「宝石の女王」とも「女王の宝石」とも呼ばれています。もっとも希少なものは純粋な緑色またはわずかに青がかった緑色。ルーペで拡大すると、閉じこめられた結晶が形づくる木の葉に似た模様が見えます。鉱物学的には、エメラルドは緑柱石の仲間で、緑色を発色させているのはクロム成分です。緑柱石にはほかの色もあり、水色はアクアマリン、ピンクはモーガナイトとなります。

古代人はエメラルドが眼力と精神力をとぎすますと信じ、とても大切にしました。その緑色はもっとも目が疲れにくい色。彫刻師は作業机の引き出しにエメラルドを入れておき、ときどき取り出して眺めては、暗い照明と細かい作業で疲れた目を休めたといいます。

古くからエメラルドは幸運と富の象徴でした。また、持ち主に未来を予見するパワーを与えるという言い伝えから、中世には予言に用いられ、旅人にとっては道中の災難や危険から免れるためのお守りでした。古代のローマ人は、この石を愛と美の女神ヴィーナス(アフロディテ)に捧げたそうです。クレオパトラもエメラルドを愛しました。イスラム教の世界では、エメラルドで敷き詰められたパラダイスの緑の園という描写が、数え切れないほどの書物に出てきます。
この宝石にまつわる伝説は数多くあります。キリストが最後の晩餐に使った杯(聖杯)は、エメラルドで飾られていたそうです。それはのちに行方不明となり、アーサー王の騎士達が血眼で探し求めましたが、結局見つけることは叶いませんでした。
スペイン人は16世紀にコロンビア(今でも最良のエメラルド鉱山があります)やメキシコにあった最高級のエメラルドを根こそぎ略奪しましたが、それらはスペインへの帰途、海難により海の藻屑と消えてしまいました。これら失われたエメラルドの伝説は、キャスリン・ターナーとマイケル・ダグラスが共演した映画「ロマンシング・ストーン」のように今でも生き続けています。
 オパール Opal10月の誕生石)

 オパールがなぜ虹色や玉虫色に美しく輝くのかは長らくの謎でした。それを解明したのは日本とオーストラリアの研究者です。この石はほかの多くの宝石のような結晶構造ではありませんが、ケイ土粒子が結晶のように線状に規則正しく並んでいます。そしてその粒子の大きさにより色が変わるのです。小さいと紫、大きいと赤、中位だと緑や青というふうに。光が反射・屈折してきらめく色の変化は「色の戯れ」と呼ばれ、オパールの価値を決めるもっとも重要な要素となっています。

オパールの語源はサンスクリット語のウパラ(宝石)、またはラテン語のオパルス(色の変化)。古代にはエメラルドに次ぐ貴重な宝石で、虹色に輝くことから希望を象徴し、幸福をもたらすラッキーストーンとされてきました。古代ローマ人は「キューピッドストーン」天使の石と呼んでいました。虹の7色が見えることから「人生が7回変わる」とも言われましたが、すくなくとも17世紀までは幸運をもたらす宝石として愛されてきたのです。
ところが1819世紀になると、たぶんゲルマン民族の迷信が原因となり、一転して不吉な石とみなされるようになりました。騎士物語「アイバンホー」の作者サー・ウォルター・スコットの小説「ガイエルスタインのアン」でも、主人公の女性が怒ると彼女のオパールは炎のような赤色となり、死んだときには灰色になったと記され、その風潮に輪をかけました。また、オパールには水が含まれていて、それが乾くと加工中にとても割れやすいのです。そのため宝石業者のあいだでは、一時オパールの売買を禁止する気運が広まったくらいです。

その後、英国のビクトリア女王がオパールに着目し、それが財政を潤すと考えました。当時英国の統治下にあったオーストラリアの鉱山でオパールが豊富に産出されたからです。そこで、女王自身がいろいろなオパールジュエリーを着けたり、王子たちの結婚の贈り物にしたりして悪評を追い払ったのです。もしそうでなかったら、オパールは魅力のない宝石となっていたかもしれませんね。

あの高橋尚子選手は、シドニーオリンピックのマラソンでで金メダリストとなる4日前にオパールの指輪を買っていたそうです。もちろん、金メダルは幸運だけで得られるものでは決してありません。
 ガーネット Garnet(1月の誕生石)

 ガーネットというと深い赤紫色が一般的ですが、実はいろいろなカラーバリエーションがあります。アーマンダイン(もっとも普通のもので、濃い赤から茶色がかった赤)、パイロープ(血の赤)、フィンガー・ジェム(ルビー色)、ロシアで少量産出されるデマントイド(エメラルドグリーン)、アンドラライト(黄色・緑・茶色)、そしてもっともカラフルなグロシュラー(オレンジ・緑・茶色・ちりばめられた黄色)。ロシア皇帝の一番のお気に入りは、緑色をしたダイアモンドガーネットでした。

中世には、色がよく似ているガーネットとルビーはどちらも「ざくろ石」(カーバンクル)と呼ばれていました。語源はラテン語のグラウヌム(種をたくさん実らせる意味)。フランス語ではザクロを意味するグレナード、スペイン語ではグラナダ。ちなみにグレナードの英語読みグリネードは手榴弾のこと。爆発するとザクロの実のようなちいさい粒があたり一面にはじけ飛びます(怖いコワイ)。

ガーネットはキリスト誕生よりずっと前から珍重されてきたとても古い宝石です。ノアが方舟で40昼夜も豪雨の中を漂流したとき、火のように輝くガーネットを舳先の明かりにしたと言い伝えられています。
また、古代エジプトの宝石職人が好んで用いました。

この石は憂鬱症や動悸を癒し、悪意を追い払い、創造性を豊かにするとされてきました。また、持ち主を毒から守り、肺や血の病気を治し、怒りを抑え、不仲を解消するとも。旅人には健康のお守りでした。
言い伝えでは、ガーネットは恋人たちの想いを成就させるといいます。偉大なゲーテ74 (!!) のとき恋に落ちた19才の娘ウルリケは、デートのときいつも深い赤色のガーネットを着けていたそうです。ただ、着ける人がほかの宝石を同時に持つと、その効き目は失せると言われています。彼女は82才になってもこの宝石を手放さなかったそうです。
 サファイア Sapphire(9月の誕生石)

 サファイアは青色が一般的ですが、緑、オレンジ、黄、金色、赤紫、ピンク、ピンクがかったオレンジのものもあります。ロンドンのケンジントン博物館所蔵の「ミステリアスサファイア」は、昼間は青色に、夜になるとアメジストのような紫に見えるそうです。また、無色透明のものはダイヤモンドの代用として普及しました。最良質のサファイアは「カシミアサファイア」と呼ばれています。
出エジプト記によると、神がモーゼに与えた十戒は、サファイアの石板に書かれていたとされています。古代から、サファイアは純真と真実に代表される神聖性に関連づけられ、神のご加護を得えられると信じられていました。また、旅人の安全を守り、疫病を防ぎ、平和・繁栄・喜び・知恵などをもたらすお守りでした。魔術師は、かすかな御神託を聞き取るため、サファイアをもっとも好んだということです。なかでもカボション・カット(上半分がドーム状のカット)のものは、光が当たると中心で交わる3本の光線(つまり放射状の6本の光の筋)が現れることから「スターサファイア」と呼ばれています。その3本の光の筋は、それぞれ信頼・希望・運命を象徴するとされています。

18世紀のヨーロッパの王様は、愛人の貞淑度を試すためにサファイアを用いたといわれています。浮気をしている女性がサファイアを持つと、色が変わると信じられていたのです。

世界でもっとも有名なサファイアのひとつは、ワシントンのスミソニアン博物館が所蔵するローガンサファイア。423カラットのクッションカット(丸と正方形を組み合わせたような形)、周囲をダイヤモンドが飾るブローチで、原産地はスリランカ。もうひとつはモスクワのダイヤモンド基金が所蔵するロシアの王冠で、258カラットのブルーサファイア。ちなみに、ダイアナ妃がチャールズ皇太子からもらった婚約指輪は意外にもダイヤモンドではなく、ロイヤルファミリーにふさわしいブルーサファイアでした。
 ジェット Jet

 ジェットはキラキラ光る漆黒の石。流木が化石化したもので、石炭に似ています。石器時代から装飾品として用いられてきたもっとも古い宝石のひとつ。ヨーロッパ各地の遺跡からは、魔よけとして使われたジェットが数多く発掘されています。古代ローマ人は「黒い琥珀」と呼んで珍重しました。
ジェットは、7世紀から約1000年間にわたりキリスト教の宗教的アクセサリーとして用いられ、17世紀の宗教改革による偶像崇拝排除で、いったんはすたれました。そして、1861年3月に母を、続けて同年12月に夫君アルバート公を42才の若さで亡くした英国のヴィクトリア女王が、モーニングジュエリー(服喪の期間に着用する装身具)と制定して以来、イギリスを中心にヨーロッパで大流行しました。ビクトリア女王はなんと25年間にもわたって喪に服したそうです。しかし、長い喪が明けたあとは、ほかのカラフルな宝石に関心が移り、ジェットの人気は急落しました。ところで、現在のエリザベス女王はビクトリア女王から数えて4代目の英国王になりますが、ビクトリア女王の肖像画(右上)にどことなく似ていませんか?

最近、パリコレなどを中心に、ジェットを使ったアンティークジュエリーがデザイナーたちの注目を集めるようになりました。かつてのモーニングジュエリーとしての意味合いはほとんどなくなり、ノーブルでキリッとした印象を強調してくれる、チャーミングなジュエリーとして蘇ったのです。スワロフスキー社からも、ジェットカラーのアンティーク調クリスタルジュエリーが多数発表されています。
 ターコイズ Turquoise12月の第二誕生石)

 一般的なターコイズの色はライトブルーか少し緑がかった青。その優しくまろやかな色は緊張をほぐし、心を和らげてくれます。そのため、古くから愛・癒し・幸運・友情などをもたらすと信じられてきました。また、ヒーリングストーンとして「あがり癖」の治療にも用いられています。良質のものは「ペルシアン」と呼ばれ、その均一なライトブルーは「コマドリの卵の青色」と言い表されています。
ターコイズは、買った人よりもそれをプレゼントされた人に幸運をもたらすと言い伝えられています。スペインのイザベラ女王がコロンブスの大航海にあたって授けたのは、ターコイズでした。コロンブスはそれを羅針盤に付けてお守りとし、新大陸を発見して1493年に生還しました。この石には、自らが割れることで持ち主を守ってくれるという伝説もあります。科学的には、多孔質で微量の液体を含んでおり、それが乾燥するとヒビが入りやすいため、と説明されています(夢のないお話)。また、ターコイズは色を変えて持ち主に異変を知らせてくれると言われます。この石が熱と湿り気に敏感なので、容易に変色するからでしょう。

ターコイズはジェットやガーネットと並んで、最古の宝石のひとつです。7500年前のミイラの副葬物として発見されたことからも、それがうかがえます。また、コーカサス地方で発見されたことから、古くはギリシャ語で「カリーナ」と呼ばれていました。ターコイズと呼ばれるようになったのは、トルコを経由してヨーロッパにもたらされるようになった13世紀以降のことです。
 トパーズ Topaz11月の誕生石)

 トパーズはコニャックのような琥珀色、あるいは桃の赤みの色をしています。そして、そのなかに暖かい茶色とオレンジが混ざり合い、えもいわれぬ深みのある色合いを呈します。まれに、シェリー酒の赤に似た淡いピンクのこともあります。トパーズの芳醇な色と輝きによって、人々は古代からこの石に闇や悪とは正反対の性質を見いだしてきました。

トパーズの名の由来には二つあります。サンスクリット語のタパス(火)とギリシャ語トパゾス(探し求めるという意味)。探求するという言葉が幸福の探求に転意し、また、夜も輝くことから、暗闇の恐怖や邪悪を追い払うと信じられていました。古代エジプト人は、トパーズの金色は太陽神ラーの放つ光によると思っていました。古代ローマ人もまた、トパーズを太陽の神ジュピターになぞらえていました。
ギリシャの哲学者アリストテレスはトパーズを愛し、両手の指に余る指輪をしていたと言われています。人々は賢人がトパーズを着けているのを見て、それが悪夢や魔力から守ってくれるだけでなく、知恵も与えてくれると信じたというのは古い冗談でしょうか。伝説によれば、これを身につけると、いざというとき他の人から見えなくなるそうです。毒の入った食べ物や飲み物に触れると色が変わるとも言われていました。ほかの言い伝では、指輪にしてはめると突然の死から免れ、枕の下に入れて眠ると元気が回復し、ネックレスにして着けると頭が良くなるということです。

ちなみに、世界最大のトパーズは、ポルトガルの王冠に飾られた1600カラットの「ブラガンザ」と呼ばれる無色透明のもの。はじめはダイアモンドに間違われていたそうです。
 トルマリン Tourmaline(電気石、10月の第二誕生石)

 トルマリンの語源はスリランカの言葉で「混ざった」を意味するトゥルマリ。バリエーションに富んだ色に由来しています。そのことから、トルマリンは美的感覚をとぎすますとも言われています。

無色・イエロー・茶色・赤・ピンク・緑・深緑・青・黒・・・その多彩さ故に別の石と混同されることがよくあります。ルビーと思われてきた17世紀のロシアの王冠に付いた宝石が、実はトルマリンだった、ということも。「ウォーターメロン(西瓜)トルマリン」と呼ばれる、内側が赤で外側が緑のものもあります。ブラジルで発見されたクジャクの羽のように緑色に輝く希少種のトルマリンは、とても高価です。

中国の西太后はピンクトルマリンを愛したと言われていますが、今はトルマリンで作った枕をして永遠の眠りについているそうです。

トルマリンは、その日本名「電気石」が示すように、つねに帯電していて電流やイオンが生じるとされています。近年は、この性質を利用して肩こりや疲労回復などに効く健康グッズに加工されています。
 ペリドット Peridot(8月の誕生石)

 春の芽吹きを思わせる柔らかい薄緑色のペリドット。でも古代エジプト人はそれを太陽の石と呼んで崇拝しました。エジプトの砂漠で昼間に見るペリドットは、太陽のようにまぶしかったからです。オリバインとも呼ばれるペリドットの色は、オリーブグリーン、イエローグリーンあるいは茶色がかったグリーン。もっとも高価なのはライムグリーン。いずれもエメラルドより明るい色調です。19世紀にはオリーブグリーンのものをペリドット、明るいイエローグリーンのものをオリバインと呼んでいました。

この石は、その安らかな色から不安を取り去り、夫婦の絆を強くするとされてきました。また、弁舌をさわやかにするとも。ただし、ゴールドと組み合わせないと、そのパワーは半減してしまうそうです。

ペリドットは夜でも光り輝くと言われています。実際、薄明かりの中で緑色がより深くなるため、「イブニング・エメラルド」とも呼ばれています。日本では、ペリドットはどちらかというとカジュアルな使いかたがポピュラーですが、アクアマリンと同様、イブニングパーティーにお似合いの石とも言えます。

この石はエジプトのアレキサンドリアで3500年前に発見されました。最初のペリドット鉱山は、紅海のセベルゲット島(アラビア語でペリドットの島、現在のセントジョーンズ島)とされています。

ペリドットは、古くはトパーズと呼ばれていました。紅海のトパゾス島で多く産出されたからです。この島はエジプト王家の所有で、厳重な警備がなされていました。エジプト王家にとって、ペリドットは大変貴重な宝石だったのです。古代エジプト人は、太陽神ラーが太陽の船に乗って現世と来世の空間を往き来するというイメージを持っていました。また、前述のようにこれを太陽の石と呼び、その中に宿る太陽の力で悪を追い払ってくれると信じていました。隕石の中から良質のペリドットが見つかることは、単なる偶然の一致でしょうか。

ハワイのオアフ島にあるダイヤモンドヘッドは、太陽の光を反射してキラキラと輝いていたことに由来しています。しかし、そこの岩石に含まれていたのはダイヤモンドではなく、実はペリドットだったため、以来ペリドットは「ハワイのダイヤモンド」とも呼ばれるようになりました。
 ルビー Ruby(7月の誕生石)

 ルビーは多くの伝説を持つ宝石です。それは、情熱的とも神秘的とも言える血のような赤色のためでしょう。ルビーの語源であるラテン語のルベウスは、まさに「赤」という意味。おもにミャンマーで産出される最高級のルビーは、わずかに紫がかった鮮やかな赤で、「ハトの血」と呼ばれています。

キリスト教のことわざにいわく、『有能で、理知的かつ貞淑な女性 ・・・ どの男がそれを見つけるのか。彼女は宝石よりはるかに手が届かず、その価値はルビーよりはるかに高い』と。女性を小バカにしているようにも聞こえますが、いずれにせよ、ルビーが価値の尺度に選ばれたのは偶然ではありません。ダイヤモンドより希少でダイアモンドに次いで硬く、またその色が、血・心臓・怒り・愛・勇気・火・王位などに象徴されたルビーは、世界中の歴史の中で、神話とイマジネーションの対象となってきました。

血の色・心臓の色をしたルビーは、古くからパッションとロマンスをもたらしてきました。転じて、愛と友情を引き寄せ、それを不変に保つパワーがあると信じられるようになりました。そのことから、ルビーは婚約指輪にピッタリの宝石と言えます。情熱が永遠にさめませんように・・・・
ルビーの色が変わると持ち主に災難がふりかかる、という言い伝えもあります。これは、次の史実抜きには語ることができません。英国王ヘンリー八世の最初の妻キャサリン・オブ・アラゴンは、最上のルビーを所有していましたが、あるときからそれが次第に色あせていったのです。そして、まさに言い伝えのとおり、ヘンリー王は侍女のアン・ブーリンと再婚し、キャサリンは離縁されてしまいます。しかしアンも、ついには王への裏切りの罪で処刑されてしまうのです。この一連のスキャンダルは、ローマンカトリックからイギリス国教会が1535年に離脱するという歴史的事態にまで発展します。英国王の離婚と再婚を正当化するためには、離婚が許されないローマンカトリックの教義は都合が悪かったのです。

古代ギリシャでは、ルビーの中に戦の神マルス(英語のマーズ)が住んでいて、エネルギーに満ちているとされていました。赤い火星をマーズと呼ぶのはこれに由来します。

絹糸状の結晶構造を持つ「ルチルのシルク」というルビーは、カボッションカット(上半分がドーム状のカット)により6条の光線が中央で交差し、美しい星のように見えます。このルビーはスターサファイアと同様に「スタールビー」と呼ばれる大変希少なもので、悪を追い払って幸運をもたらし、良き伴侶を見つけてくれるという言い伝えがあります。

いろいろな善いパワーをもたらしてくれるルビーですが、中世以来、指輪にせよブローチやブレスレットにせよ、身体の右側に着けないとその効き目を発揮しないとされています。ヨーロッパの美術館を訪れたときは、時間があれば中世の肖像画を見てみましょう。ルビーを着けていれば、みんな右側のはずです。

最大のルビーは、14世紀にボヘミア王チャールズ四世が注文した250カラットのものとされています。
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